11.05.2010

季節の味


アメリカに住んでいて日本の人たちが羨ましいと思う事の一つに、「季節の味」がある。高価なものから定食屋で安くて美味しく食べることが出来るものまで、実に様々な四季折々の食材が店頭や家庭料理や居酒屋やレストランに出る。

「あぁ、これが食べられる季節になったか」という文句はちょっとオッサン臭くもあるけれど、若い人たちだってそう思っているに違いない。

さて、アメリカで食材を見て季節を感じることはそれほど無い。新鮮な野菜や果物は豊富だが、巨大なスーパーの膨大な食材を見渡しても年中同じように見える。魚は通常エゲツナイ冷凍物ばかりだし、新鮮な魚でも季節によって魚の種類が変わるようには見えない。季節を感じるのは、温室ものではなくて夏の陽を浴びて育ったトマトの瑞々しさを口の中で味わう時くらいだ。

別の言い方をすればアメリカの普通のスーパーで売っている食材は、そのほとんどが人口的に管理された環境から収穫を得ているものだということだ。年中欲しいものが手に入る、というのは眉唾物だと思っていい。さらに言えば、日本で食材を売っている店でそのような品物が増えているとすれば、それはむしろ「警告」と解釈した方が良いと思う。地元の市場、八百屋、果物屋を是非応援して頂きたい。

例外は「ファーマーズ・マーケット」と呼ばれる、区々で通常週一で開かれる野菜と果物の市場。農家の人たちが新鮮な収穫を売りに来る。カリフォルニアでは有機農法で育ったものが多く見られる。そこで手に入る食材は新鮮度でも健康度でも、そして美味しさにおいても一般のスーパーのそれとは格段の差がある。

秋は味覚が最も豊かな季節。大いに食べて下さい。