アトランタでのニューイヤーズをキャンセルしたのはこのフィルモアでの4ショーの日程がアップされたから。南部と言ってもアトランタの冬は寒い。めっちゃ遠いし・・・金曜日は休みを取って木曜日の夜からサンフランシスコに滞在。
木曜日はほぼソールドアウト、もしかしたら当日完売になったかもしれない賑わい。金・土はずっと前からソールドアウトになった。さすがに日曜日はゆったりとスペースがあるだろうという予想だったけど、ショーが始まる頃にはフロアはかなり混んでいた。
日曜日以外は新曲におなじみの曲を混ぜ込むという感じのセットリスト。古い曲に新しいサウンドとアレンジを吹き込んだ演奏に時々新曲を入れたショーは日曜日。以前からのファンが喜びそうな。
4夜ともにDJが一人ずつオープナーを務め、バンドのオープナーは無し。なんかその方がすっきりして良かった気がする。最初の3ショーは2時間を超えるワンセットをマルチのアンコールだったのが、日曜日だけは2セット+1アンコールのフォーマットだった。いろいろ変えて試しているんでしょう。
試すと言えば・・・ステージでの彼らのポジションが一掃されて新しいステージフォーマットになった。ザックはステージ向かって左側、ジェフリーが右側でそれぞれかなり高い位置にプラットフォームを組んで観衆を見下ろすような感じ。マーフィーも左に移動、ザックのドラムスの麓に。ハンターはジェフリーの前に。そしてフィップスがステージ中央に位置し、しかもオーディエンスに向かって演奏する形になった。フロアからガンガン弾きまくるフィップスの顔を正面に見ることが出来るのは・・・いいねぇ〜そしてライブペインターのクリスとジェイはステージの両端に陣取っていた。かっこいいフォーマットだ。
だけどこれはただフォーマットを変えただけじゃなくて、その背後にはオーディオ関連のいろんな理由があるらしい。サウンドが違う。前に比べてかなり澄んだ音になったような。ヴェニューによっては音量が高過ぎることもあったベースもうるさ過ぎず、しかも効果的。ジェフリーのパーカッションやフィップスのキーボードがより鮮やかに聞こえた。
もう一つ、バックドロップがアトランタのニューイヤーズの写真で見られるようなスクリーンになっていた。投射ではなくスクリーン自体がピクセルの集合体のもの。他の照明が消えてこのスクリーンがオンになる時はバンドメンバーがシルエットになって絵になる。
知らない曲、つまり「Peaceblaster」にも入っていない曲が聴けたのは金と土。一番客数が多いこの二晩にそういう曲を持ってくるというのはいかにも彼ららしい。ダークでヘビーなビートとベースにギター、シンセ、サンプリング、エフェクトがかぶさるのはずっと前からの試みだけど、いつも新鮮で斬新で意外性に富む演奏だという点は感心してしまう。アレンジにアレンジを重ねて「自作のリミックス」のようになってきた古い曲でもそれは同じ。イントロ聴いても分からないものもあったり。
フィップスはアナログ・モジュラー・シンセのスタックと
monomeを導入。あの人、何台シンセ持ってんだろ?キース・エマソンとかリック・ウエイクマンのステータスに近づきつつありますよ。あんなにエキサイトして動くフィップスは今まで観たことなかったな。それとも正面を向いたから観れるようになったのか?
金土共にソールドアウトだったのに、観衆の反応がイマイチ。不思議なのは、曲の途中ではみんなガンガン踊りまくっていて叫び声も挙げるほど興奮しているのに、曲が終わると静かになってしまっていた。あまりにも凄い演奏に言葉も出ない、という感じでもなかったし。パーティーし過ぎだな、あれは。あるいはセットブレイクがあると無いとであんな風に違うもんなんだろうか。木と日は、客のほとんどがこのバンドにハマってる人たちばかりだったようで、反応の質がもっと良かったように思う。
やっぱりこのバンド、本物。最高だわ。
ちなみに、ジェフリーに娘「ルビー」誕生。ザックは婚約したし、ジェイも今年結婚する。フィップスの娘「アヤナ」ももう2歳。だってあのザックが今や30歳ですよ。みんな大人になってますね。バンドメンバーも、クルーも、それをサポートする「ファミリー」もみんな素晴らしい人たちだ。若くてポジティブでクリエイティブで愛がこもったバイブレーションを持っている。音楽を通じてだけじゃなくて、家族生活面でもユニークなコミュを形成している。ただ音楽だけじゃない。総合体として感心してしまう。そんなコミュニティーに加えて頂いているだけでもインスピレーションを浴びることが出来る。今の僕にはとても有り難い。
幸せ。